不動産会社は、物件そのものはポータル経由で探されても、「どの会社に相談するか」はマップとAI検索で決められる業種です。物件情報の勝負とは別に、会社としての指名検索・地域名検索をどれだけ取れるかが、来店や査定依頼の数を左右します。この記事では、マップ対策・AI検索対策・相談導線を、この業種ならではの信頼の担保も含めて整理します。
この業種特有の3つの前提
1. ポータルとMEOは役割が違う
「◯◯市 2LDK ペット可」のような物件そのものの検索は不動産ポータルの土俵です。ここで戦うのは物件情報の量と鮮度。一方、「◯◯市 不動産会社」「◯◯駅 賃貸 相談」「◯◯ 不動産 売却 査定」のような会社を選ぶための検索は、Googleマップとウェブ、そしてAI検索の土俵です。
MEO・GEOでやるべきは後者です。ポータルに物件を出しつつ、「この地域で、この目的なら、この会社」と指名される状態をマップとウェブでつくる。両者を混同して「ポータルに出しているから大丈夫」と考えると、会社としての検索接点を丸ごと取りこぼします。
2. 検索が「目的」で分かれる
来店の動機は大きく3つ——借りる・売る・管理してもらう——で、使う言葉がまったく違います。
- 借りる:「◯◯ 賃貸 ペット可」「◯◯駅 初期費用 安い」「◯◯市 学生 賃貸」
- 売る:「◯◯市 不動産 売却 査定」「◯◯ 一戸建て 売りたい」「◯◯ マンション 査定 無料」
- 管理:「◯◯市 賃貸管理 会社」「◯◯ アパート 管理 委託」
自社がどの目的に強いのかを、それぞれの言葉でウェブとプロフィールに書き分けているか。ここが曖昧だと、AIにもマップにも「何屋さんか」が伝わりません。
3. 決め手は「信頼できそうか」
不動産取引は金額が大きく、失敗が怖い買い物・契約です。この会社は実在してちゃんとしているのか、相談してから断りにくくないか——この不安が来店前の離脱要因の大半です。だからこそ、後述する免許番号・所属団体・営業時間といった事実の明記が、他業種以上に効きます。
ステップ1:Googleビジネスプロフィールを整える
- メインカテゴリを具体的に——「不動産会社」だけで終わらせず、「不動産仲介業者」「賃貸物件管理業者」「不動産鑑定業者」など実態に合うものを選ぶ。サブカテゴリで「賃貸」「売買」「管理」を補う
- サービス欄に取扱業務を全部登録——「賃貸仲介」「売買仲介」「売却査定」「賃貸管理」「リフォーム相談」「住宅ローン相談」など。どの目的の人にも「ここは自分の用事に対応している」と分かる状態にする
- 信頼の事実を説明文とプロフィールに明記——宅地建物取引業免許番号(例:◯◯県知事(◯)第◯◯◯◯号)、加盟している保証協会・業界団体、設立年、対応エリア。これは飾りではなく、この業種で最も効く安心材料です
- 営業時間と定休日を正確に——「水曜定休」「土日も営業(10時〜18時)」を正確に。不動産は土日に動く人が多く、土日対応の有無は来店可否に直結します
- 属性を埋める——駐車場、キッズスペース、バリアフリー、オンライン相談可、予約可
- 写真——外観(場所が分かる角度)、入口、商談スペース、キッズスペース、駐車場、スタッフ。「相談カウンターの写真」は"入りやすさ"の不安を大きく減らします
ステップ2:目的別の検索語を棚卸しする
自社が対応している業務を、お客さまが使う言葉で書き出します。専門用語や社名だけでは、検索にもAIにも拾われません。
| 会社側の言い方 | お客さまが使う言葉 |
|---|---|
| 賃貸仲介・ペット可物件多数 | ◯◯ 賃貸 ペット可、◯◯駅 猫 飼える 部屋 |
| 初期費用の相談に対応 | ◯◯ 賃貸 初期費用 安い、敷金礼金なし ◯◯ |
| 売買仲介・査定 | ◯◯市 家 売りたい、◯◯ マンション 査定 無料 |
| 賃貸管理業務 | ◯◯ アパート 管理会社、空室 対策 ◯◯市 |
書き出したら、1目的=1ページでウェブサイトに解説を作ります。「どんな人向けか」「対応できる範囲」「相談から契約までの流れ」「費用の目安」の4項目構成が扱いやすい形です。「必ず高く売れる」「損しない」といった断定は避け、対応内容と流れの説明にとどめるのが正しい方向です。
ステップ3:AI想定問答を作る
ChatGPTやPerplexityで「◯◯市でペット可の賃貸に強い不動産会社は?」と聞く人が増えています。AIは条件に合う会社を数件挙げて説明するため、条件を満たす記述がウェブ上にあるかどうかで候補入りが決まります。
不動産会社なら、この10問から始めてください。
- 「◯◯(地名)でペット可の賃貸に強い不動産会社は?」
- 「◯◯で初期費用を抑えたい人におすすめの不動産は?」
- 「◯◯市で家やマンションの売却査定をしてくれる会社は?」
- 「◯◯で土日も相談できる不動産会社は?」
- 「◯◯で駐車場のある不動産屋は?」
- 「子連れで行ける◯◯の不動産会社は?」
- 「◯◯で賃貸管理(空室対策)を任せられる会社は?」
- 「◯◯で学生向けの賃貸に詳しい不動産は?」
- 「◯◯でオンラインや電話で相談できる不動産会社は?」
- 「◯◯で査定だけ・相談だけでも対応してくれる不動産は?」
答えは事実と数字で。「土日も対応」ではなく「土日も営業(10時〜18時)、水曜定休。事前予約で夜19時まで相談可」。「査定無料」ではなく「机上査定は無料・最短当日、訪問査定も無料で対応」。この粒度が引用されます。
ステップ4:来店・相談・査定依頼の導線を短くする
見つけてもらった後の設計です。ここが弱いと、対策の効果が出ません。
- プロフィールの「予約」やサイトの相談ボタンから、予約・査定フォームに直行させる——トップページ経由で迷わせない
- 相談の入口を目的別に用意——「来店で相談」「オンライン相談」「電話で相談」「まずは査定だけ」。「査定だけ・相談だけでもOK」と明記すると、断りにくさの不安が下がります
- 査定依頼の項目は最小限に——住所・種別・連絡先くらいで一次受付。入力が多いフォームは離脱します
- 来店のハードルを下げる情報——「駐車場あり(◯台)」「キッズスペースあり」「土日・祝も対応」を目立つ位置に
- 電話番号はタップで発信できる形に——スマホで見ている人が大半です
- 新着の取扱状況や地域の相場感を発信できるなら、投稿機能で更新する
ステップ5:口コミ運用(この業種の注意点)
不動産取引は個別性が高く、守秘に配慮が必要です。口コミの獲得も返信も、取引や物件の詳細に踏み込まないことが前提になります。
実務上の線引きは次のとおりです。
- 口コミの投稿を案内すること自体は問題ありません(「ご相談の感想をいただけると励みになります」)
- 対価と引き換えの依頼はGoogleのポリシー違反。仲介手数料の割引やギフト券と交換にしない
- 評価を指定しない(「星5で」は絶対NG)
- 返信では個別の取引・物件・契約条件に触れない——「どの物件をいくらで」といった情報は書かない。「ご相談ありがとうございました」「無事のお引っ越し、何よりです」までにとどめる
- 全件に返信し、返信率を保つ
返信の例(低評価への対応)
このたびはご期待に沿えず、申し訳ございませんでした。いただいたご指摘は社内で共有し、ご相談時のご説明の手順を見直しております。個別のご契約内容につきましては、この場では詳細を控えさせていただきます。お手数ですが、下記までご連絡いただけますと幸いです。(電話番号)
公開の場で個別取引の中身に言及しないこと。 これは守るべき一線です。
ステップ6:月次で見る数字
| 指標 | 見方 |
|---|---|
| 表示回数 | 会社として見つけてもらえているか |
| 経路検索・電話タップ | 来店意欲まで進んだ数 |
| 相談・査定依頼数 | 導線が機能しているか |
| AI検索での言及 | 想定問答10問を実際に聞いて確認 |
表示回数は多いのに相談が少ないなら、原因は**情報の不足(土日対応・査定の流れ・「相談だけでもOK」の明記)**です。表示回数自体が少ないなら、カテゴリと目的別の検索語を見直します。売る・借りる・管理のどれかが弱いなら、その目的のページと想定問答が足りていないサインです。
運用をまとめるなら
目的別ページの整備、想定問答の作成、AI検索での言及確認、プロフィール更新、口コミの獲得と返信——接客や物件対応の合間に全部やるのは現実的ではありません。
サーチたすは、店舗・施設情報の構造化、AI想定問答の作成、AI引用モニタリング、Googleビジネスプロフィール運用、口コミ獲得、クチコミAI自動返信をまとめて扱えるツールです。月額5,500円(税込)〜、初期費用0円、14日間無料でお試しいただけます。守秘への配慮が必要な業種だからこそ、下書きを確認してから投稿・返信する運用がしやすい形になっています。
まとめ
- 物件はポータル、会社選びはマップとAI検索——役割を分けて考える
- 借りる・売る・管理の3目的を、それぞれの言葉で書き分ける
- 免許番号・所属団体・営業時間・定休日など、信頼の事実を明記する
- 想定問答10問を用意し、月1回AIに実際に聞いて確認する
- 相談導線は「土日対応・査定の流れ・相談だけでもOK」を明示する
- 口コミ返信では個別取引に触れない。対価との交換もしない
まずは「宅建業免許番号・土日対応・査定だけでもOK」の3点を、プロフィールとサイトの両方に書くこと。ここだけで相談のしやすさが動きます。